国民年金と厚生年金の
保険料算出の仕組み
毎月の年金保険料はどのように決まるのか。定額制と報酬比例制という二つの算出方法の根本的な違いを、中立的な視点で整理します。
導入
年金制度において最も身近な関心事の一つが、毎月の保険料です。国民年金と厚生年金では、計算方法も支払い方法も全く異なります。一方は全員一律の定額制、もう一方は収入に応じた報酬比例制を採用しており、この違いが将来の受給額の差に直結します。本ページでは、それぞれの計算の仕組みと負担のあり方について整理します。
国民年金 / 第1号被保険者
定額制の仕組み
国民年金の保険料は、所得に関わらず全員一律の定額です。年度ごとに物価や賃金の変動に合わせて額が改定されます。全ての加入者が同じ額を負担することで、納付期間が同じであれば将来受け取る老齢基礎年金の額も同額になるという公平性を保っています。
支払い方法
- 納付書による窓口・コンビニ払い
- 口座振替(銀行からの自動引き落とし)
- クレジットカード納付
厚生年金 / 第2号被保険者
報酬比例制の仕組み
厚生年金の保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に共通の保険料率を乗じて算出されます。収入が高いほど納める保険料も多くなりますが、その分、将来受け取る老齢厚生年金の額も増える仕組みです。これを報酬比例制と呼びます。
算出の要素
- 標準報酬月額(毎月の給与を等級に区分)
- 標準賞与額(賞与を1000円単位で切捨て)
- 共通の保険料率を乗じて算出
この二つの制度は単計算方法が違うだけでなく、負担の捉え方も対照的です。定額制は「全員が同じ額を負担し同じ額を受け取る」という基礎的な公平性を保証し、報酬比例制は「現役時代の生活水準を老後に反映させる」という目的を持っています。
制度間の調整
厚生年金保険料には、基礎年金(国民年金)の保険料相当額も含まれています。二つの制度は独立して存在するのではなく、密接に連動しています。
厚生年金 / 制度の核心
労使折半という強力なサポート
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算出された保険料を本人と勤務先の会社が半分ずつ負担します。給与から天引きされているのは全額ではなく半額です。
実質
加入者は実質的な負担以上の保険料を積み立てている状態になります。事業主負担分が上乗せされるためです。
保障
この仕組みが厚生年金の厚い保障の源泉です。個人の負担だけでなく事業主も老後資金の形成に参加しています。
厚生年金保険料に含まれる基礎年金分
会社員などの第2号被保険者が支払う厚生年金保険料には、1階部分である国民年金(基礎年金)の保険料相当額も含まれています。そのため、厚生年金に加入していれば別途国民年金の保険料を払う必要はありません。集められた厚生年金保険料の一部は「基礎年金拠出金」として基礎年金制度の財源に充てられ、制度間の調整が行われています。
保険料の負担を支える四つの制度
免除・猶予制度(国民年金)
経済的な理由で納付が困難な場合、申請により保険料の全額または一部が免除されます。学生には「学生納付特例制度」もあり、未納のまま放置するよりも将来の年金額への影響を抑えられ、障害年金などの受給資格も維持される重要な救済措置です。
社会保険料控除による税の軽減
支払った国民年金・厚生年金保険料は全額が所得税・住民税の「社会保険料控除」の対象になります。保険料の支払いは老後の備えになるだけでなく、現役時代の税負担を軽減する効果も持ちます。確定申告や年末調整で正しく申告することが家計上のメリットにつながります。
付加年金(第1号向け)
第1号被保険者は保険料が定額のため将来の受給額も一定です。月額400円を上乗せして払う付加年金は任意制度ですが、納付した月数に応じて老齢基礎年金に上乗せが支給され、報酬比例部分を持たない自営業者にとって受給額を増やす手段の一つになります。
国民年金基金(第1号向け)
より手厚い上乗せを目指す第1号被保険者向けの任意制度です。付加年金よりも大きな受給額増加を目指せます。厚生年金のような報酬比例部分を持たない自営業者などが、老後の受給水準を自ら補完するための有効な手段として用意されています。
今後の展望
保険料率の固定化と制度の持続可能性
厚生年金の保険料率はかつて段階的に引き上げられてきましたが、現在は18.3%で固定され、これを労使で分け合っています。少子高齢化が進む中でこの料率を維持しつつ給付水準をどう調整していくかが議論の焦点です。加入者としては、現在の負担額が将来の給付にどう結びつくのか、制度の持続可能性を含めて理解しておくことが望ましいです。
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